シネマラブ

ダメージのシネマラブのレビュー・感想・評価

ダメージ(1992年製作の映画)
5.0
久々に再鑑賞しました。
やはりすごい。
テーマがテーマなので万人受けはしないでしょうが、間違いなく傑作。
濡れ場シーンばかり取り沙汰されますが、これはそういう映画ではなく、立派な芸術作品です。人間の尊厳を問う傑作。

私は不倫を肯定しないし、したこともない。するつもりもない。むしろ潔癖でそう言った行為を忌み嫌っている。
しかし、なぜかこの2人には共感というと語弊があるが、お互いに抗えない引力で引き寄せられていることが分かるというか、なぜか納得してしまうのだ。

過去に深い傷を負ったアナの闇はスティーブンのような余裕のある男にしか癒せない面があったのかもしれないし、
情熱以外全てを手にした男が最後に出会って魂の全てを差し出す相手としてアンほど相応しい相手はいなかっただろう。

起きたことを思えば息子や奥さんは本当に不憫だし、言い訳のしようもない。2人の罪はこの上なく重い。
しかし、スティーブンはいわゆるダメ男ではなく、奥さんも言うように悪人ではない。何よりジェレミーアイアンズはこう言う男を演じさせたらぴかいちでなぜか哀れすら誘うのだ。
アンも目を瞑って飄々と生きる女ではない。言わずもがな、ジュリエットビノシュが圧倒的な魅力を放ち見るものを唖然とさせながらもやはり彼女もなんだか哀れを誘う。

人間の悲しき業とか、弱さとか、男女の行き着く先や官能を描き切っている。
演技はもちろん、音楽、脚本、絵全て文句のつけようがない。

私も結構色々な経験をしてきたから、若い頃初めて観た時もも衝撃を受けながらも傑作だと感動しましたが、あれから年月を経た今はさらに胸を打つものがあった。
似たような経験をしているからかもしれません。(不倫ではなくそれ以外の部分で)

これは年齢を選ぶ映画ではありません。
受け取り手の人生経験、人生の重みを問う映画。

あまり評価が高くないのが残念ですが、またしばらくしてから観たいです。
ジュリエットビノシュは大好きな女優さんですが、やはりすごい。未見作品をもっと観たい。


久々に見させてくれたユーネクストありがとう。

U-NEXTにて
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