元ヤク中のドラッグディーラーを若き日のウィレム・デフォーが演じる。
ポール・シュレイダー監督でデフォー主演作があったなんて知らなかった。
彼の演じる主人公は富裕層を顧客として抱え、知的で穏やか、ドラッグディーラーであるってことを忘れそうな人物。ディーラーでありながらも一線を超えた客には必要以上には売らないなんて矛盾した一面を持っている。
だが犯罪捜査官や元妻との絡みの場面は彼が淀んだ世界にいるってことをつきつけてくる。
過去への悔恨、忘れられない愛、そして先行きの見えない未来への不安、その揺れ動く心情を演じて素晴らしい演技だった。
音楽が渋くてそのムードに酔う。
ほぼホテルやアパートのNY街の風景、いつも鋪道には黒いゴミ袋が山積みになっているのがすごく印象的。
あらすじを読んだ印象と違って犯人探しスリラーというよりは、自分探し。犯罪に巻き込まれ、それが変化の契機となる。
クレジットにケネス・アンガーのルシファー・ライジング?