Koshii

Vフォー・ヴェンデッタのKoshiiのレビュー・感想・評価

Vフォー・ヴェンデッタ(2005年製作の映画)
3.6
真実の鉄槌を振りかざすためだけに、「V」は仮面を纏う。復讐という正義を抱えて。

汚職が蔓延るイギリスでは、もはや革命など求められていなかった。政府が与えた平穏を国民誰もが信じていた。もみ消した闇、地位を築くための嘘。それらは全て別の「真実」として姿を変え、創り上げたい綺麗な世界の一部へと美化されていった。

政府が抱えた「真実」を晒すため、同じ「真実」によって生み出された「V」は復讐心をたぎらす。

彼がもたらすのは、革命か、震撼か。

以下ネタバレを含みます。










DCヒーローらしいストーリーとキャラクター。物語の大筋は好きなのですが、「V」の一癖も二癖もある性格には少し着いていけませんでした。

復讐方法もどこか洗脳じみているし、憎み続けていた政府らと本質的に同じ事をしているように見えました。

自己陶酔に走った「V」の復讐劇は、信念のために生きているというよりも、己のためだけに生きているような悲しい矛盾を内包していたようで、迎える結末もハッピーエンドであったかは分かりません。

どこかオペラ座の怪人を彷彿とさせる内容で、信念の亡霊であった「V」もまた愛の力を思い知ったのかなと。
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