このレビューはネタバレを含みます
全体主義の恐ろしさを描いた作品。
誰もがVに成りうる、故にVは己であると受け取った。
全てが同じである(統率されていることが正しいとされ、それ以外が排除される)社会において、間違いが起きた時に変化を齎すにはV(己)が必要だ。それは彼のように武器を持ち、巧みな言葉で人々を焚きつける存在かもしれないし、獄中で言葉を綴る彼女かもしれないし、スプレーを片手に持つ少女かもしれない。
個が無くなったまま生きることが生なのか?死とは?思考をやめた人間は生きているのか。
マイノリティであることによって愛する人や生業、アイデンティティを失った彼女がとても印象に残った。あと、ヒューゴは仮面を被っていてもなお声で語りかけてくる。アクションも、立ち振る舞いと言葉で魅せる力も、素晴らしい。