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Vフォー・ヴェンデッタのEDDIEのレビュー・感想・評価

Vフォー・ヴェンデッタ(2005年製作の映画)
4.2
近未来独裁国家と成り果てたイングランドに突然降り立った1人の革命家“V”。「理念は死なない」意志は引き継がれるものだ。

DCコミックス「ヴァーティゴ」から出版された同名グラフィックノベルを原作にした国家反逆者であり革命家を主役にした作品です。主役のVを演じるのは『マトリックス』のエージェントスミス役でもお馴染みのヒューゴ・ウィーヴィングですが、全編通して革命家Vのマスクを着けての出演という異例の作品。
別映画の撮影のためウィーヴィングは一旦オファーを辞退し、代わりに抜擢されたのがジェームズ・ピュアフォイでしたが、マスクをつけたままの演技にストレス過多となり降板。結局ウィーヴィングが演じたという逸話があります。

そして、もう1人忘れてはならないのがイヴィーを演じたナタリー・ポートマンでしょう。女優魂をしかと見せてもらった坊主頭に刈っての出演。ロリータ姿も見せてくれるなど、彼女のファンからしたら喜ばしいのか悲嘆に暮れるものなのかわかりませんが、とにかく彼女の役に対する覚悟の程が素晴らしいです。

物語としては難しそうだけども単純。
先にも記載した通り、独裁国家となり、人々が権力に伏せざるを得ない状況下で、
1人の男が立ち上がり反乱を企てるというもの。
ある意味同じDCキャラクターを原案とする『ジョーカー』とも双璧をなすキャラクターと言えるでしょう。
映画としての完成度や全体的な出来に関しては『ジョーカー』に軍配が上がると思いますが、序盤とクライマックスの演出はとても印象的。アンチヒーローとして描かれながらも、彼の行動やカリスマ的存在感はジョーカー同様に人が同調し憧れるきっかけとなり得ます。
それがまさに「理念は死なない」ということでしょう。彼Vが尽きたとしても、次の革命家が意志を引き継ぐであろうという考え方。とてもかっこいい。

本作のイギリス国家がまさに“悪”として描かれていることもあり、“V”の理念ある行動には同調したくなる気持ちもわかります。

アメコミヒーローを主役にした作品にしてはアクションは多くはないですが、“V”の剣術やオーケストラの演奏と背景に実行する爆破のシーンは見応え十分。
こういった荒廃した近未来の世界観が好きな方にはオススメできる作品です。

そして、個人的に震えた、何度も観たくなるVとイヴィーが初対面し、Vが自己紹介するシーンのセリフ。
“V”にこだわるあまり、Vを頭文字にした単語で自己表現する彼。ここまでのこだわりように私は震えましたよ。
以下のセリフが自己紹介のそれです。
しかも喋り方が上品でかっこいい。エージェントスミス、じゃなくてヒューゴ・ウィーヴィングだからこそ為せたカリスマ的キャラクターと言えるでしょう。

Voila! In view, a humble vaudevillian veteran cast vicariously as both victim and villain by the vicissitudes of fate. This visage, no mere veneer of vanity is a vestige of the vox populi, now vacant, vanished. However, this valorous visitation of a bygone vexation stands vivified and has vowed to vanquish these venal and virulent vermin vanguarding vice and vouchsafing the violently vicious and voracious violation of volition. The only verdict is vengeance, a vendetta held as a votive not in vain, for the value and veracity of such shall one day vindicate the vigilant and the virtuous. Verily, this vichyssoise of verbiage veers most verbose. So let me simply add that it's my very good honor to meet you and you may call me V.


※2020年自宅鑑賞95本目
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