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怒りの葡萄のGaPToothのネタバレレビュー・内容・結末

怒りの葡萄(1940年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

1962年の日本初公開時のポスターには、
「砂塵と飢えに追われる集団移民の実体。アメリカ映画史にしるす名作」と書いてある。

人を殺し7年の刑務所暮らしのはずが4年で仮出所してきたトム・ジョード。
故郷に帰ってみると誰もいない。
1人居残っていたミューリーによると「地主の意向で立ち退き要請」があり、ジョード家はジョンおじさんのところにいるという。

ジョンのところで母親マアや家族と再会して喜び合うトムだが、会う人ごとに「脱獄したのか?」と聞かれるのが面白い。

『カリフォルニアに求人あり。摘み手800人募集。高賃金』というビラの情報を信じ、砂漠を越えてカリフォルニアを目指し旅に出る12人。
「聖書」(砂漠を越えて→モーセ率いる神の民が砂漠を越えたように)(12人→使徒たちの数/地上における完全数)

着いてみるとカリフォルニアは決して『乳と蜜の流れるところ』ではなかった。

キーン農場で桃もぎをすることになったトムたちだが、経営者の賃金カット要求に対して労働者たちの怒りが爆発!ストライキに突入してしまう。この時の乱闘でトムが殴り倒した男が死亡。不運にもトムは殺人犯として追われる身となってしまい、キーン農場を出ていかざるを得なくなってしまう。

流れ流れて辿り着いたのは農務省管轄の国営キャンプ。仕事にありつき、清潔な住まい、シャワー、毎週土曜日にはダンスパーティまで楽しめたのだが、ここも安住の地ではなかった。

保安官の捜査の手が迫ってきたと思い込んだトムは、母親に別れを告げて夜の闇に紛れて去っていく。

母は強し。
故郷を追われ、父と母を失い、そしてトムをも失った一家を励まし支えて逞しく生きるマアを演じたジェーン・ダーウェルが素晴らしい(*’ω’ノノ゙☆パチパチ

ヘンリー・フォンダと、ジョン・キャラダインやチャーリー・グレープウィンら、ジョン・フォード作品の常連たちの共演もみどころの一つ。

パンフレットの解説によると、
「アメリカの文豪ジョン・スタインベックのピューリッツァー賞受賞作品を、二十世紀フォックス映画の総裁ダリル・F・ザナックが製作。ジョン・フォードが二回目のアカデミー賞監督賞を獲得し、"どのシーン、どのカットも完璧"と全世界で絶賛された作品」とのこと。

ついでに『怒りの葡萄』
「聖書」の黙示録14章18節~19節には、悪に対する神の怒りが頂点に達する時の描写が「神の怒りの葡萄しぼり場」と表現されている。

原作:ジョン・スタインベック
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