怒りの葡萄の作品情報・感想・評価・動画配信

「怒りの葡萄」に投稿された感想・評価

ベッコ

ベッコの感想・評価

3.7
800人の求人に対し、5000枚の広告を打ち、20000人が広告を見て、その内3000人が西へ向う。
働き手のない人たちは最悪の労働条件でも労働せざるを得ない。

社会派映画の鉄板
どっかの作品解説に
原作の政治的な面は影を潜め、
むしろ家族ドラマだ 的な
事を書いていたけど
いやいや!
だいぶダークな映画じゃん!

最初のキャンプ場は
スラム感にじみ出てて
すごく雰囲気あったなあ
ぼろを来た出稼ぎ農民が通りすがりに
じろじろ見てくるカットとか
古い作品のくせに
なかなかいいセンス!

終盤に真夜中のテントの外で
トミーがオカンと交わす会話も
忘れがたい名シーン。

2020.11.22
絶望と希望の狭間を行くロードムービー。

土地を追われた一家が、理想郷を求めて旅立つ。一人、また一人と離脱していく旅程は憂いを帯びている。しかし、その中にもわずかな賑わいがあり、決して希望を捨てない民衆の姿が描かれている。牧歌的な音楽は、希望を胸にする民衆を立てる役割を果たしている。

叙情的なドラマがありながら、一方でドキュメンタリー調の演出が垣間見える。一家が初めて訪れたキャンプ場の住人たちの顔、飢餓に苦しむ子供たちのまなざし、こうしたショットが、困窮する民衆の現実をとらえる。

陰影の使い方が印象的。トラクターによって住居を取り壊され、拠り所を失くした三人の影が、喪失と未練を物語っている。
ひめの

ひめのの感想・評価

3.6
面白かったが、良くできたプロレタリア文学の映画化の域を出ない作品という印象。民衆自身に民衆であることを希望として語らせるのは誠実ではないと思う。
地獄のデスロードムービー。喜怒哀楽詰まった我ら民衆のための映画。画質が最悪なのと、分割して観たため本編にあまり入り込めなかったが大好きなカットや人物の動きなどは随所に見つけられた。終盤のヘンリー・フォンダとジェーン・ダーウェルの会話でのそれぞれのカットの強度が凄まじくて見入った。「俺はここにいる」という台詞は全ての貧民たちの尊厳となって強く問題提起する。怒りを怒りとして忘れないでおきたい。まあいいやで済まさないようにしたい。その後のママ・ジョードの「民衆はいつまでも生き続けるんだよ」はジョンフォードの意向ではないらしい。でも自分は違和感なく台詞に感動した。中盤ダイナーで貧しい老人の孫のために飴を安く売ってくれる姉ちゃんの思いやりと態度のアンバランスさも最高。人間っていいな。この子供2人が元気いっぱい天真爛漫でとても可愛く、終盤出てくる政府運営のキャンプのシャワーをぶっ壊して逃げるように走ると二匹の仔犬も連れられて彼らを追いかけるというカットが堪らなかった。家から離れたくないお爺ちゃんを無理やり睡眠薬で眠らせて、直後に老衰?で亡くなってしまうという展開が唐突過ぎて不謹慎ながら少し失笑してしまった。
こちらは1930年世界大恐慌ど真ん中。ルート66を巡り、ジョード一家は仕事を探し求める。時代は違えどコロナ渦の中の家族のあり方がリンク。
いつの時代も、
たくましく生き続ける。
永遠に生きる。
それが民衆なんだよ。
原作込で、素晴らしい

蟹工船、ケス、ダニエルブレイク、万引き、パラサイト、ジョーカー
スタイン・ベックの同名小説の映画化。当時の貧しい小作農の人々の困窮した生活ぶりが描かれて、資本主義の影の部分が浮き彫りにされている。社会主義映画と思われてもしかたない作品だなぁ。

西部劇の巨匠ジョン・フォード監督。主演は名優「ヘンリー・フォンダ」。

土地を追われた小作農の一家が地主のすさまじい搾取を受け、難民キャンプを転々とする姿は、明るい未来を描くことができない現代の我々庶民には他人事ではない恐怖を感じさせるものだ。

仮釈放となったトミー(ヘンリー・フォンダ)が家族に再会し、再び家族のもとを去らざるを得なくなるまでは満点近い内容。特に母親との最後の会話は深く感動した。

友人ケリーからトミーへと伝わったもの。無名のこういう人々の、社会をより良くしようという想いが積み重なって、この映像にあるよりは幾分かマシな今の社会があることを実感すると、感謝と渡されたバトンの重さと、暗澹たる絶望感のないまぜになったような複雑な想いにとらわれてしかたない。
柴猫

柴猫の感想・評価

4.0
1930年代、行き過ぎた開拓により断続的な砂嵐に襲われるオクラホマ州。代々その土地で暮らしてきた一族は、農業の出来なくなったこの土地を離れカリフォルニアへと向かう。定員オーバーのオンボロ中古車でアリゾナ砂漠やロッキー山脈を越えて、生き残った農民は労働者となり、大恐慌と機械化により労働力が溢れる資本主義社会に翻弄される。

冒頭、ディストピアSFの導入と言われても違和感のない、白黒映像の砂嵐と吹き飛ばされそうな民家にまず驚く。そこからの脱出を図る命懸けの旅路は、ルート66を巡るロードムービーの金字塔でもあって今見も全く色褪せない。
人間にとって何代にも渡って同じ土地を受け継いでいくことの意義は、自分にはピンとこないはずなのに何故か惹かれてしまうテーマ。土地を持っていた頃は単純だった事が、そこを離れることで家族までもバラバラになっていく。確かな基盤を失い、何も信頼出来ずに嘆く姿は現代へと続いていく。

何度も痛めつけられると根性が曲がって恨みに満ちた人間になる。そうなってないかい?と何度も息子に確認する母親はこの一族の大黒柱。何があろうと生き続けるのは私たち民衆だ!と、この時代の大衆映画はやっぱり最高だと実感させてくれる。
tomomorero

tomomoreroの感想・評価

4.5
とてもいい映画だった。
資本主義の影の側面である極貧の話。教養もなく、小さく惨めで金がなくても、生きるためならなんでもやって、連帯して生活の営みを続けていくことが生きることの本質なのかなと思った。
印象深かったのは、通りにいた老婆の卑屈な目。ただのエキストラだろーけど、忘れられない。
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