Melko

チリンの鈴のMelkoのレビュー・感想・評価

チリンの鈴(1978年製作の映画)
3.9
「生きることは、悲しみを知ること。その悲しみで心の牙を研ぐのだ」

「分かっているな、チリン。この世界はいつも死がつきまとう地獄だ。覚悟はできているな」
「地獄へ堕ちても構わない。命だって惜しくない!僕はオオカミよりも強くなって、お前をやっつけてやる!!」

えぇ〜〜そんなぁ。。(涙)
これ、サンリオ映画だよね…?な、なんて悲しくてやるせない物語なの。。。

お母さんや仲間達と牧場で平和に暮らしていた、ヒツジの子 チリン。首にはトレードマークの鈴。
ある夜、恐ろしいオオカミ ウォーが現れ、羊達を襲う。寝ぼけて逃げ遅れ、1人になり狙われたチリンを覆い庇ったお母さんは、ウォーに殺されてしまった。悲しみのあまり、襲われても逃げ回るしかない自分達の弱さに憤ったチリンは、牧場を飛び出し、ウォーの元へ。彼は、オオカミのように強くなりたいから、「自分を弟子にしろ」と言うのだが……

何も悪いことをしてないのに、どうして殺されなくちゃならないんだ
弱いから殺されるんだ
襲われ、何もできずに殺されるのは嫌だ
強くなりたい

最初は馬鹿にしてチリンを取り合わなかったウォー
だが、どれだけ足蹴にされても、死にかけてもついてくるチリンに根負けしてウォーは戦いの手ほどきをする

一匹オオカミ オオカミの強さ
強いことは孤独
その意味を、チリンは最後の最後に身をもって知ることになる

ヒツジでもない、オオカミでもない、恐ろしい何かになってしまったチリン
復讐や恨みに囚われてしまう切なさ
行き着く所のない孤独

子供が見ても、怖いとしか感じられない後半の展開
大人になると、凄い何か色んなメッセージを感じてしまう。噛み砕けない、、切ないから

大人になったチリン、この声どっかで…と思ったら、神谷明だ!声が微かに、北斗の拳だ!
ナレーターはトトロ、ウォーは星一徹
原作はやなせたかし…?!愛と勇気だけが友達…というか、お母さんからの愛情を思い出し、ヒツジとして生きていく勇気を持てば良かったんだな、きっと。。
孤独の寒さが沁みてしまう物語でした。
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