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ロスト・チルドレンのbennoのレビュー・感想・評価

ロスト・チルドレン(1995年製作の映画)
4.8
退廃的でレトロ感の漂う近未来都市が舞台のダークファンタジー…。
テリー・ギリアムの世界観とよく似ています。

監督はジャン=ピエール・ジュネ、初鑑賞です。言わずもがな、『アメリ』の監督さんですが、ただ『アメリ』は直感的苦手意識があり、手を出せずにいます…が今作でちょっと意識に変化が…。

ギリアムよりも洗練された印象です。なんと衣装がゴルチエ。ファッション雑誌から飛び出したような子供たちの衣装…少女のコートの可愛らしさにうっとりします。

ストーリーはひとつ目族と呼ばれる集団に2歳の弟を誘拐された知恵遅れの怪力男ワンが弟救出のために奔走します。そして子供窃盗団のリーダー的存在…9歳のヒロイン、エミットがワンに協力、そして淡い恋愛に……。

出てくる登場人物は一見すると突飛で現実離れしていますが、それぞれが孤独ゆえに厳しい現実から目を背けようともがきます。それは現代社会にも投影し得ること。

その中でささやかな清涼剤として、エミットとワンの関係を美しく描いています。
外見は大人と子供の2人ですが精神年齢が一緒…もしくは少女の方が上…という違和感を通して、混沌とした世界の中で彼らがより純粋に映し出されます。
このピュアな感情は同じく大道芸人を描いたフェリーニの『道』を思い浮かべます。

中でも1番ハマったのは…ワンの2歳の弟!とっても可愛くて食いしん坊!常に何かを食べてます…そして食べ終わると「ゲッ!」と毎回ゲップ!

そしてエンドロールで流れる曲が大大大好きな…
♪ Who Will Take My Dreams Away? ♪
先日鑑賞した『橋の上の娘』で何度となくかかる曲。とても切なくて甘美な曲です…。
好きな曲ですが、この作品になぜ?という思いが…。

しかし…わたし的には最高のラストシーンでした。
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