◎天才子ども歌手という狂気 jukebox オペレッタ

1949年 新東宝 モノクロ 56分 スタンダード
＊状態は鑑賞に支障なし

舞台芸術、ステージエンターテイメントの世界では、「ショウストッパー」なる用語がある。

いざ、その人物が登場して、歌なり、踊りなり、演技なりを披露すると、観衆は熱狂して拍手喝采の渦が沸き起こり、それまで順調に展開していた劇やショウの進行が止まってしまうという存在のことである。

興行の世界ではドル箱として持てはやされるが、演出家や同業者にとっては、舞台をぶち壊す鬼子として嫌われるのも常である。

【以下ネタバレ注意⚠️】




美空ひばり（1937-89）という人は、「天才少女歌手」としてデビューした9歳の時から、まさしく時代のショウストッパーそのものであったらしい。

映画デビューは、1949年3月28日公開の『のど自慢狂時代』だそうだが、現存しているフィルムは、ひばり出演シーンを欠いた不完全版らしく、同年6月6日公開の『びっくり五人男』を、ひばり出演部分を中心に短縮再編集した本作『ラッキー百万円娘』（1958年公開）が現在観ることのできる最初のひばり出演映画らしい。

すでに歌手としてはデビュー3年目になるが、歌い出すと、とても12歳になったばかりの少女の歌声とは思えない。

彼女の歌に、おでん屋の花菱アチャコは手踊りで応ずるが、喜んで踊っているというより、彼一流の戸惑いの表現のようにも思えた。

ストーリー自体は、紹介するまでもない他愛のない下町ホームコメディといったところで、例によって、笑いについては芸人に丸投げした格好の量産型コメディだが、斎藤寅次郎のコントロールが上手いのか、そこそこ観られる作品とはなっている。

古川ロッパあたりが歌うと、はるか昔の浅草オペラを彷彿とさせるところも良い。

大団円は、藤山一郎が朗々と歌う「新東京音頭」の特設舞台でのお披露目ショウ。

Jukebox ミュージカルと観ても、なかなか楽しく出来ている。

《参考》
＊1 映画 ラッキー百万円娘（びっくり五人男） DVD
www.nhk-ep.com/s/products/detail/h25497A1-00-00-00

＊2 映画音楽書物遊戯等断罪所
ラッキー百万円娘～びっくり五人男より～（モノクロ）CCC
2010/04/2702:03
danzai449.blog19.fc2.com/blog-entry-3354.html?sp

＊3 ヨコハマらいぶシネマのブログ
【『ラッキー百万円娘』事前解説】
2014-04-16 23:09:59
ameblo.jp/yokohama-live-cinema/entry-11824819048.html

＊4 人生・嵐も晴れもあり！
美空ひばりの映画　「びっくり5人男」　初主演作！　映像が初めて見れる作品！　賛否両論！
2022-02-23 22:51:53
ameblo.jp/southerncrossagency/entry-12728394804.html

＊5 指田文夫の「さすらい日乗」
『ラッキー百万円娘』　24/01/18
blog.goo.ne.jp/goo1120_1948/e/6965b3582049ba9f8dca5572fd784578

＊6 放出美級迷画座　ひばり映画
www2u.biglobe.ne.jp/~kazu60/koram2/hibari1.htm

＊7 2024年03月18日
人気絶頂となった『ブギウギ』モデル・笠置シヅ子。11歳の美空ひばりはその歌をレパートリーに「ベビー笠置」と呼ばれるも…
佐藤利明 娯楽映画研究家・オトナの歌謡曲プロデューサー
fujinkoron.jp/articles/-/11374

《上映館公式ページ》
シネヌーヴォ日本映画大回顧展
新東宝 映画まつり
　Preseted by 新東宝キネマノスタルジア
2024.7.6〜9.6 シネ・ヌーヴォ
www.cinenouveau.com/sakuhin/shintoho2024/shintoho2024sakuhin6.html

衛星劇場
不死鳥 美空ひばりスペシャル 永遠の歌姫
2024.01