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張込みのtheocatsのレビュー・感想・評価

張込み(1958年製作の映画)
2.0
深く慟哭的ではなく淡々と平板な展開

逃亡犯は必ず付き合っていた女の元に現れる、という刑事の推理が発端。
東京から佐賀までの夜行長距離列車行から映画は始まる。
※特急でもなく寝台車でもなく普通列車での長距離行の辛さは経験あるので大いに共感する場面。

佐賀に着いてから犯人が立ち寄らないか女宅を向かいの旅館から見張りをするが6日経っても一向に現れる気配が見えない。
旅館側も大の大人二人が何もせず部屋でぶらつくのを訝りはじめ、警察を呼び出す始末。
しかしとうとう逗留最終日に女がいつもと違う行動を取り始める・・・

実は本作のあらすじを読んだ時にゴルゴ13のある回の物語が思い出され、大きな期待をかけてしまったが、残念ながらゴルゴほどの緊迫感も劇的な落ちもなく、かなり平凡な展開にこちらが寝落ちしそうになってしまった。
何も起こらない見張りの退屈な間を持たせようとはしてくれるが、面白いとも情緒的に心動かされるということもなし。

そのエピソードの一つに張り込み刑事の嫁取り問題があるのだが、そのことと犯人と女の訳あり関係を無理やり織り合わせたのも冗長化と散漫化を招いてしまったようだ。

拳銃を持っているはずの犯人という設定が緊迫感をもたらすことはなく、結末も女にとっては悲劇だったのだろうが実に大人しい終わり方。
逆に犯人と女の悲恋過程をずっと見聞きしていた刑事が自身の結婚に関して吹っ切れたのが本作内における唯一とも言えるポジティブエピソード。
全くなんちゅう終わり方・・・・

総評二つ星 18切符の辛い普通電車旅を思い出させてくれたことに感謝

002010
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