囚人13号

あの彼らの出会いの囚人13号のレビュー・感想・評価

あの彼らの出会い(2006年製作の映画)
5.0
ダニエル・ユイレの逝去した年に生を受けた者として偏愛しているし、都内以外でも触れる機会が設けられて然るべきだと思う。
もはやその容貌も朗読も意味を成すことなく、原作を表層的に処理した先に広がる映画スタイルの極論。

平面的な切り返しで示されつつ瞬間移動してるとしか思えない距離感の狂った対話が終わり、沈黙するその瞬間に訪れるのは無音・無言などではない豊穣な「大地」の音。
最後の名も無き狩人を『雲から抵抗へ』と同じ俳優に演じさせることで、神話時代に思いを馳せる現代の視点が一本の映画を超えてストローブ=ユイレによる神話劇へ27年越しの終止符を打つ。

地層から澱み、ゴミゴミとした文明群を経て再び神々の元へ回帰していく包括的なティルトは電線によって画面が意味深に分断されて終わる。どれほど撮り方を真似ても映画をなめてるようにしかならない、模倣し得ない神の領域
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