さまよえる象人間

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君にのさまよえる象人間のレビュー・感想・評価

4.0
まともな精神状況に置かれたとは思えない人間が渾身の力を持って紡ぎ上げた奇跡の映画。こんな正気とは思えない映画は今後も出ないであろうし、スタッフですら作りようがないだろう。これを当時満員の劇場で観ることができたのはつくづく奇跡としか言いようがない。
救済と絶望、血と暴力、絆と別れ。映画が描きうるものすべてが混ざり合い、映像の刃となって観るものの喉元に迫ってくる。正直娯楽映画としてみると無茶苦茶だろう。だがそのような枠を外してまでイメージを叩き付けようとした作り手の真摯な情熱は伝わってくるし、公開から10数年以上経過してもいまだ色褪せていない。