りっく

大いなる幻影のりっくのレビュー・感想・評価

大いなる幻影(1937年製作の映画)
4.2
収容所というステージに、国籍や人種を超えて邂逅する人間と人間。貴族出身であるところから会話が弾み、友情に結ばれていく大尉と捕虜収容所長。そして没落する階級を認識する彼らの犠牲によって、労働者階級出身の中尉の脱走が成功するという展開に、現実を超えて幻想の領域に導く様式化がみえる。

国家や階級意識といったものにとらわれず、その背後に潜む人間的なものを取り出し、人間とは何たるかを訴えかけてみせる。国家的な対立の彼方に存在するであろうことを信じたい人間同士の絆を描いたルノワールの紛れもない代表作だ。
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