SANKOU

マルホランド・ドライブのSANKOUのレビュー・感想・評価

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)
5.0
まるで夢の中にいるような違和感がずっと続く。整合性のなさだけでなく、登場人物の行動が何となく不自然ですべてが子供っぽく感じるのは気のせいだろうか。そして登場人物の嘘っぽい笑顔がとても薄気味悪い。デヴィッド・リンチらしい悪夢と現実の境目が分からない世界観だが、この作品はミステリーとして謎解きを楽しめるようなエンタメ性がある。そしてまやかしの中にも、時折ハッとさせられる緊張感のあるシーンがあり、気がつくと画面に引き込まれる。ベティがオーディションシーンで見せる演技を通り越したリアルなやり取り、薄暗いステージで女性シンガーが聴かせる心を打つ歌声、それらは紛れもない本物だ。一度観ただけでは理解し切れないが、どんな些細な場面にも作り手のこだわりと意味がしっかりとあって見ごたえのある作品だった。ナオミ・ワッツが前半と後半で全くキャラクターが変わってしまっているのが凄いなと感じた。
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