楽しい夢が次第に崩れていき悪夢へと変貌していく、現実なんてそんなものよ、と観るたびに胸糞悪くなるけれどそれがこの映画の魅力かなと。
デヴィッド・リンチ監督のこのクセのある演出といい、主演のナオミ・ワッツといい堪らなく好きです。
ある夜にマルホランド・ドライブで車どうしの衝突事故が起こる。
なんとか助かった黒髪の女性はどうにかハリウッドの街まで辿り着き見知らぬ住居へと忍び込む。
女優としての輝かしい未来と希望に胸を膨らませ田舎からロサンゼルスへやって来た1人の女性 ベティ。彼女の叔母は大物女優のルースで、彼女はロケ撮影で長期間 家を空けるためその間の留守を任されたのだ。
宅地に着いたベティは管理人のココに案内されルースの家へ。
早速部屋を回っていると、黒髪の女性がシャワーを浴びていルースのところに鉢合わせる。リタと名乗るその女性を叔母の友人と思い込んだベティーーでもすぐに見知らぬ赤の他人と分かる。
車の事故に遭い何も思い出せないと話すリタ。彼女の持ち物を検めると、大金と青い鍵(何の鍵かは不明)を持っていることを知る。
ベティは同情と好奇心から、リタの記憶を取り戻すべく手助けをし出すのだが…。
あらゆる場面が何かを暗示していたり、終盤になるに連れて明らかになる全体像と関連性がないように思える場面場面が紐付けられていくあたりは秀逸でした。
・ダイナー、ウィンキーズで話し合う刑事と男性
・ウィンキーズの裏にいる不気味で怪しい何者か
・自身が監督を務める映画で主演女優をオーディションで選ぼうとするも、製作会社から1人の女優 カミーラ・ローズ を指名しろ、と思うように事が進まない アダム
→ 妻には浮気され、自己破産にもなり散々な目に
→ カウボーイと名乗る奴に妙なことを言われる始末
・ウィンキーズで一息入れるベティとリタ。働く女性スタッフの名前 ダイアン から ” ダイアン・セルウィン ”という名を思い出すリタ。自分と何かを関係がーー?
→ はじめは自分かと思うも、後々自分ではないことが判明する
・ドジ過ぎて次々と人を殺す羽目になるしょうもない殺し屋
・ココから急に渡された台本でオーディションを受けるベティ。
→ その時の芝居が監督、相手役の役者、キャスティングエージェントに絶賛され、エージェントから早速スカウトされる
・記憶を取り戻すための手がかりを得るべくダイアンセルウィンの家へ向かうベティとリタ。
→ 隣人から聞いた話ではここ3週間程姿を見ていないという
→ ダイアンの家に侵入するベティとリタ。
→ 寝室のベッドで朽ち果てた姿の女性の遺体を発見
・肉体関係を持つベティとリタ
・リタに連れられ真夜中行くクラブ・シレンシオ
→ 前座の男性の胡散臭くも怪しい感じと奇妙な発言
「楽団はいません。
これは全部テープです。
オーケストラはいません。
これは全てまやかしです。」
→ 1人の女性が登場し、とても感傷的な歌を唄い、号泣して最後には倒れてしまう
これは果たして現実か、はたまた夢か、
幻想、妄想、回想…
ある女性を通して苦悩と覚悟、責任がひしひしと伝わる、そんな作品でしたね。