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マルホランド・ドライブのslowのレビュー・感想・評価

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)
5.0
嘘がないからこそ、痛みも恨めしさも、その根拠を欺くことはできないし、この舞台を固める無数の足跡を見れば、すべてを言葉にしなくても、伝わるものがある。この世には、ドラッグにも似た陰謀論や、芯のない果実に欲を満たす好奇の視線があふれ、手元にあったはずのわたしたちの時間は、過去ばかりか、まだ手付かずの未来さえも、まことしやかな都市伝説や、あらゆるポルノの肥やしにされ兼ねないのだと、そんな危機感も覚える。最低限必要なのは、時間を直線として捉えながらも、それはあくまでひとつに見える束であると理解すること、なのかもしれない。夢ひとつとっても、その意味はひとつではないけれど、それを同時に映し出そうとするこの映画は、印影ほど鮮明に描いていたりもするわけで、この矛盾とまでは言えない曖昧さ、それこそ人生と言われているような小難しさも、魂をふるわす揺籃の歌声を聴く頃には、不思議と受け入れてしまう。
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