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DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマンのmitakosamaのレビュー・感想・評価

3.3
DAICON FILM版、というか自主制作だね。コレがフィルマークスにフォローされてるのが笑えるわ。

本編は大人になってから見たんだけど、小6くらいにゼネラルプロダクツのカタログに紹介されてたのを見てるんだよね。
当時はそれがなんだか理解できなかった。
生身の巨大な人間が怪獣と戦ってるスチール写真。巨大フジ隊員や1/8計画みたいなものか?と勝手に解釈してたわ。

現ガイナックスメンバーなので錚々たる顔ぶれですな。エヴァの庵野秀明、脚本が岡田斗司夫、赤井孝美、武田康廣、山賀博之などの大阪のオタク第一世代。

今作で語られるポイントとして、ボール紙で作ったとは思えないレベルのミニチュアやセットのレベルの高さ。アングルやライティングを熟知した特撮。でも肝心のウルトラマンは庵野本人の素顔にスプレーで塗ったウィンドブレーカーという割切り。棒読みな演技。実相寺アングルなどのウルトラマニアな数々。などがあげられる。

僕はそれ以上に気になることがあって…
83年に作られた今作だけど、数あるウルトラの中からあえて「帰ってきた」を選んだことは注目すべき点だと思う。
ウルトラシリーズで、帰りマンほど“組織の理不尽”さを描いた作品は無い。怪獣退治の防衛隊とはいえ、軍隊であるということ。
オリジナルの帰りマンのグドンツインテール回では、超兵器スナイパーを強行投下しようとしたが、今作では更に直接的な表現として〈核兵器〉の使用という暴挙が強行されようとする。

ここでいうリアリズムとは〈組織においては個人の意思が蔑ろにされる理不尽さ〉を描写することであり、その〈没個性の状況下で孤軍奮闘する主人公の姿〉こそが〈物語におけるドラマ〉のあり方だ。

庵野秀明の〈物語〉とは、基本的にこのシステムで成り立ってる。エヴァンゲリオンのしんちゃんが正にそれだ。

コレを書いてるのが16年7月13日。シン・ゴジラ公開直前。
シンゴジの予告においても、〈特撮における、組織と個〉のあり方を仄めかしてるのがわかる。
シンゴシを語る上で、恐らく指針になる1本であると予想される。
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