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旅路 村でいちばんの首吊りの木のisopieのレビュー・感想・評価

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特集/巨星・橋本忍

美しい自然の風景と流麗な音楽、明らかに『砂の器』のセンをねらっているが、かつての橋本忍作品なら情念が突き動かすあまりの歪なドラマも成立していたが、80年代のテレビ的な物語と画面のなかでは苦しさが浮き上がる。

しかし奇妙な魅惑はある。橋本忍といえば回想!だが、本作は回想そのものがトリック=映画の詐術になっている。早見優のアイドル映画ふうの面もあって、翳りをまとった顔がいい。早見優はこのころ『零戦燃ゆ』『キッズ』と歌手活動とは正反対の暗い役柄ばかり。

脚本は橋本信吾と橋本忍、並びからして息子主導か。「橋本プロ広報」のクレジットに橋本姓の女性、一族郎党で製作に臨む。マンション管理人・桜井センリの影の薄さ。受験の終わった早見優と冨永みーなの予備校の寮の部屋のラジオから流れる吉田拓郎「夏休み」の季節感のなさはいかがなものか。

特殊造形で古賀信明がクレジットされていた。『ギニーピッグ』シリーズなどで有名なVFXアドバイザーのひと。切断された手首の造形物を担当したのでしょうね。
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