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ニーチェの馬のyのレビュー・感想・評価

ニーチェの馬(2011年製作の映画)
4.3
何度か見たくなる映画。
セリフがほぼなくても見続けられるってだけでも監督さんの力量。
娘が食べることも飲むことも放棄した(生きるのを放棄)馬に「食べなきゃダメ」というシーンがあって、馬は食べない飲まない。そして馬はほぼ真っ暗な空間に1頭で過ごす。
一方、父娘は最後は明かりも失い、井戸水も枯れた。娘が父親に「食べなきゃダメ」と言われ、娘は食べなかった。これも馬と同じように暗闇。
馬と娘が重なる。

水がなくなったあと、働けない食べない馬を殺して生き抜くのかなと思ったりもしたけどそうしなく扉を閉めた。
水がなくても、じゃがいもは火の中で焼けばいいのにとも思ったし、雨が降らない地方じゃないから、そのうち水は貯めれるでしょうと思った。なので二人が絶望的で死ぬとも思わない。焚き火の元もありそうだし。
手が動かなくても重い荷物を運んでいるお父さん、服の脱ぎ着を娘にさせていて(お父さん一人でできそう)この二人はもしかして父娘以上の関係?と最初思ったけどそれも違った(苦笑)。

そんな余計なことも頭をよぎりながらも、
この父娘の質素で黙々と生きる。人生の目的や楽しみなんて考えなずただ粛々と生きる。こうやって人は生きてきたのかなと思ったり、見る人に解釈を委ねるこういう映画は好きだし面白いと思った。
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