ミコノスマニア

英国王のスピーチのミコノスマニアのレビュー・感想・評価

英国王のスピーチ(2010年製作の映画)
4.2
自分のような中堅の世代は、程度の差はあれど「責任」について考えさせられる機会が多いだろう。
ジョージは王になるはずではなく、多くのコンプレックスを抱えながら等身大の誠意を持って生きていた。それが父の逝去や兄の退位により意思に反して激動の時代を担うことになる。
「私は王なんかじゃない」と泣き出すジョージには共感して涙を誘われた。自分も、会社では負いたくない責任を負う年になり、立場になり、…それでも良心に背かない生き方をしたいと心のバランスをとりながら毎日を生きている。

ジョージが戴冠式を終え、覚悟を決め、スピーチを成功させていく様は、静かだけど荘厳で、実に凛々しかった。
王になる重圧に比べたら自分の悩みなんて大したことないけど、自分も彼のように責任を果たすべく困難に向き合えたら素敵だな、と感じさせてくれた。

コリン・ファースの持つ気品や、内に秘めた強さがジョージ6世とマッチしてこの映画の格調を高めたと言えるだろう。

ここ数年の彼の活躍を見るに、時代は今彼のようなキャラクターに共感し、求めているのだと思う。誤解を恐れず言うならば、精神性が高く寡黙な、いわゆる古風な男だ。この紳士への回帰傾向は、きっと世界を良い方向に導くはずだ。
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