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英国王のスピーチのserinaのネタバレレビュー・内容・結末

英国王のスピーチ(2010年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

階級の差を超えた友情のはなし(英国王と植民地支配を受けたオーストラリアからの移民という不釣り合いすぎる関係性)

そして生まれる場所を選べない過酷さが描かれてる。一般市民に生まれることができなかった主人公は、精神的な追い込みや利き手を無理やり直されるなどの肉体的にも暴力を受けたせいで障害をもつ。そんな状況下でも、英国王としてスピーチを無理強いされる。地位や名声、人々の期待や生まれ持った運命を全て無視して好きな相手を選ぶお兄さんが対比するように描かれてたけど、バーティの努力はすごく強かったなあ。

クライマックスのスピーチは、ああ読みきるんだろうな...とは思ってたものの、バーティが徐々に流暢な演説をするようになって、声に弾力が出てくる感じに、鳥肌が止まらなかった。前半部分は、ライオネルにクラシックの指揮をしてもらい、詰まりかけた時にファックファックファックを口ずさんでもらい、まるでふたりで演説をしてるようだったのに、演説が終わる頃には、棒立ちしてるライオネルがバーティの前にいるの。ゾーンに入ってるのが視聴者側にしっかり伝わってきたの、めちゃくちゃ感動した。

バーティが、役者志望で才能はなさげなんだけど、捨てきれない夢がある一方で、対等の関係性を強いてライオネルの治療を担当する中でどんどん自分の仕事に向き合う姿勢が肯定的になり、「経験」ゆえの「実力」を誇るようになるあたり、ライオネルにとってバーティの存在は人生においてあるべきものだったと思う。
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