めっちゃ面白い! 二・二六事件の映画化といえば『動乱』や『226』など、青年将校側にシンパシーを抱かせるような作品が多い印象だが、本作は被害者側の視点を中心としたエンタメ性重視のスリリングな脱出劇である。反乱軍に四方を取り囲まれた状態で、官邸に閉じ込められた総理をどうやって助け出すのか? タイムリミットが刻一刻と迫る中、憲兵隊と秘書官が協力して救出作戦に挑む様は、本当にハラハラドキドキの一言。バレるか、バレないか。手に汗握るサスペンス。序盤の銃撃戦を除けば派手なシーンは皆無だが、画面には常に静的な緊張感が張り詰めている。三國連太郎のヒリつくような存在感もデカいのだろう。総理官邸の広大なセットは素晴らしいが、しれっとミニチュア特撮やマットペインティングを用いているのも見所。にしてもクーデターの裏でこんな出来事があったとは。面白すぎて半分くらいはフィクションだろうと思っていたけど、調べたらかなり史実に沿っていたので驚いた。