もとまち

マーダー・オブセッション/殺人狂のもとまちのレビュー・感想・評価

3.4
母子相姦ホラー。すべての始まりは窓から吹き込んだ一陣の風。男はカーテンのうねりに引き寄せられるかのように窓際のテーブルへと近づき、開かずの引き出しをこじ開けると幼き日々の写真が何枚も零れ出てくる。不可視の力が忌まわしい記憶を解き放ち、血塗られた惨劇の契機を生む。あまりにも映画的としか言いようがない幕開けに嬉しくなった。
キチガイママの秘めたる企みがまんまと成就するアンチクライマックス、あのラストの美しくおぞましい一枚画(ショット)はそれなりに衝撃的。そのまま扉がバタンと閉まって、絶望の只中でフィナーレを迎えるのも素晴らしい。ピート・ウォーカー映画っぽい救いの無さ。チープな所が目につかない訳では無いし、ジャーロとオカルトが曖昧に入り混じった構成もフニャついてるけど、遺作でこんだけ撮れたなら十分な気がする。
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