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エデンの東のevergla00のネタバレレビュー・内容・結末

エデンの東(1954年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

【Love > Kindness+Conscience】

Calの視点で観ていると、胸が張り裂けそうになりました。特にプレゼントのくだり。手作りだろうが、吟味した品だろうが、激怒されたり、拒絶されたり、捨てられたりしてきた自分としては。残念ながら金券を断られたことはないのだけども。

冒頭、その行為は違法なのかと、Calは逐一尋ねます。

愛されないのは自分が悪いからなのか?
兄は善人だから父から愛され、婚約者もいるのか?
自分を捨てた母親に会いに行った。
事業の損失分を戦争に便乗して穴埋めした。
幻想を抱く兄にとって厳しい現実を突き付けた。
無条件に愛されることを知らず、
愛に飢え、愛に絶望した青年の行動。

戦地なら人を殺しても良いのか。
長年の隣人でも敵国出身者は敵視すべきか。

倫理観を保つこと、善悪の線引きの難しさを考えさせられます。

時代が変われば判断基準も変わる。
その基準がブレないようにと、事あるごとに聖書を引き合いに出す父Adam。基準を守ろうとする姿勢は立派ですが、あくまでも「行い」重視で、そこに至るまでの想像が膨らまない人でした。
そして見るからに怖そうで近寄りがたい母Kate。美しい手のお手入れを欠かさない女性が、主婦業と農業に専念できるとはとても思えないし、向いていないことに結婚前に気付かなかった本人にも落ち度があるような気がします。
子供の名前を決める前に母親が出て行ったということは、当たり前のように双子という設定なんですね。

清廉潔白で道徳観に溢れた大黒柱でも、愛が偏在している家庭。
Calが破滅の誘因のようでいて、そういう人間を創り上げてしまった愛情の欠如と配慮の無さが根本原因なのかと。

許すことと愛することは違う。
無償の愛とも言うけれど、求めることも愛の証明。
人生の選択の前に、人が人として進むには愛情が不可欠なのです。

それにしてもAbra姉さん、顔が近い(〃ω〃)

上目遣いが悩ましいJames Dean、本作の舞台となったSalinasのオートレースへ向かう途中の交通事故死だったんですね…。

“Man has a choice and it's a choice that makes him a man.”

“.....it's awful not to be loved. It's the worst thing in the world. It makes you mean, and violent, and cruel. And that's the way Cal has always felt..... All his life!..... You never gave him your love. You never asked for his. You never asked him for one thing..... You must give him some sign, .....some sign that you love him, or he'll never be a man.”
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