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数に溺れてのkokiのレビュー・感想・評価

数に溺れて(1988年製作の映画)
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S•P•Wのお気に入りとのことで映画館駆け込み
4Kリマスター、無修正版
安定のイメフォ

監督名も作品名もこれまで一度も聞いたことがなかったのはなぜなのか
新しい映画体験だった
新しい映画体験なんてもうないと思ってた
衝撃的で
2日連続観に行った
映画館で観るなら(というか夜のシーンが多く、月灯り照明だから映画館マストだと思うが)真ん中の席で観た方が絶対良い。(D6、G6で観た)

自身が画家であったことから絵画の教養をそのままスクリーンのフレームに落とし込んでいる印象を受ける→フレームに占める人物のサイズが一般的な映画とは異なる。(引きの画もあるが)
手前と奥の構図が随所にあり、その多くが手前が静まったもので奥がその反対になっている。
ずっとこの形式が続くとそれはそれで飽きそうだが、縦横ドリー、手持ち、クレーンも器用に混ざっているから夢中にさせられる。(ドリー上手すぎて撮監誰か調べたらマリエンバート撮った人か)

最初の事件後のゲームの男たちと女たちの結果が伏線になるとは思わなかった。。

ウェス•アンダーソンの参照元のようなお遊戯調から(実際レクリエーションをしている場面が多い)、良くも悪くも罰されることなく進む100までのカウントは悍ましさが桁違い。時々忘れちゃうけどやっぱイギリスが一番悍ましい。

男たちが共通して身体能力が欠けているというのがプロットにおいて必須条件であるから、そんなに普遍的ではないけど、今の時代を生きているとこの展開のえげつなさもわりとしっくりきてしまった。
女たちが自分にメリットあるかないかだけと言っていいほどの基準で男と接しているのとか(そこにはいろんな経緯もあって)。

本作を語る上で頻繁に現れる“水”について無視できないからなんとなく汲み取ったことを書くと、事件後必ず女が涙を流す→平静を取り戻す流れがあるように、この水は水に流す的な意味合いが主ではと思った。主要な男たちは上手く泳げず、女との関係を断ち切れない、性的欲求を押し付けずにはいられない(←女たちは事件後迫られても断っている)ことを対比として見せているのではないかと。
謎のランニングする人たちに関してはマジェットの問いにシシー1が答えてるけど上記と絡めると分かりやすい気がする(走ることで彼等は距離をとっている)。

映像に魅了された部分が大きい。永遠に観ていたいと思えた。
ベルイマン作品と出会って画家から映画の道に転身した人だと知って、そりゃ土台が一緒ならそうか ってなった。

計算し尽くされた作りで無駄な引き伸ばしとかもなく、傑作だと思う。
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