イチロヲ

日本暗殺秘録のイチロヲのレビュー・感想・評価

日本暗殺秘録(1969年製作の映画)
3.5
幕末から昭和までのあいだに勃発した歴史的事件を、暗殺者側(テロリスト側)の視点から描いている、実録系オムニバス映画。東映のお抱えスターが総動員されており、冨田勲が荘厳な音楽を提供している。

桜田門外の変から二・二六事件までを取り上げているが、昭和7年の血盟団事件がメイン扱い。貧困層の青年・小沼正(千葉真一)を中心人物に据えながら、「何故、テロリズムを抱くようになったのか?」という観念的なドラマを描いていく。

テロリスト側にヒロイズムを植え付けている作風のため、良くも悪くもバイアスが感じられるが、「腐敗した国家を立て直すための、暗殺者と被害者の一蓮托生」という、本当の意味での革命的行為を、エンタメの中に落とし込んでいく技量が素晴らしい。

各シークエンスの合間に「それでも暗殺はなくならなかった」という、乾いたナレーションを入れてくるスタイルが印象に残る。各時代の動乱を学ぶことができるため、日本史好きは一見の価値あり。全然関係ないけれど、「○○の変」の変って、なんか変。
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