くりふ

フォー・ザ・ボーイズのくりふのレビュー・感想・評価

フォー・ザ・ボーイズ(1991年製作の映画)
3.5
【なるほどメイ・ウエスト】

最近みた『ソウルガールズ』からの戦場慰問つながりと、その他いくつか興味があり、みてみました。WWⅡ~朝鮮~ベトナム戦争…と慰問ショーを続けたエディ&ディクシーの、半世紀に渡る、ちょっといい話。

既にスターである、ジェームズ・カーン演じるエディのもとに、代打の相方としてベット・ミドラー演じるディクシーが派遣されるが…二人は折り合いメチャ悪く、なのにステージは大ウケ!…となる出だしがとても面白い!

ベット姐さん、圧倒的。…ずんぐりだけど。歌がいいので誤魔化されますが、猥談ショーですねーコレは(笑)。

(当時)最近、彼女がメイ・ウエストの伝記ドラマに主演すると知りましたが確かに、彼女ならやれる気がしてきます。が、この時40代だから良かった、とも思いますが。70近い今だと、どこまでメイの濃密を再現できるだろうか?

歌のラインナップは楽しいものばかりですが、そこでそれ出すか!とショーを忘れて琴線鷲掴みにされる「イン・マイ・ライフ」が私はいちばん好き。ビートルズではこうはいかない。これもベット姐さんの力ですね。

しかしステージは見事なのに、一方の要となる戦場シーンの演出が急に幼稚になるのです。これは冷めますね…。基本的に戦争映画を撮れない人じゃないかなあ、マーク・ライデルさんは。ベット姐さんとのコンビの『ローズ』はとてもよかったんですけどね。

全体を見渡しても、2時間超えるのに、脚本的にも意外と薄い。ディクシーが夫も子供も戦地に送ることになるが…という家族ドラマがもう一方の柱ですが、戦場描写の甘さもあって、こちらもあまり引き立ちません。

逆に、アメリカ万歳なプロパガンダ臭はドラマとして弱い分、あまり気になりませんけどね。

ジェームズ・カーンだって頑張ってエンタメしているわけだし、いっそミュージカルにした方がよかったんじゃないか?などとも思ってしまいました。

<2014.3.1記>
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