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クレイジー・ハートのtheocatsのレビュー・感想・評価

クレイジー・ハート(2009年製作の映画)
3.5
ヒットしたのは昔の話、今は場末のバーやボーリング場のどさ回りをしている初老のアル中カントリーシンガーソングライター。
新曲も作ることなく過去の遺産で食いつないでいる状態だが、巡業先で出会った女性記者といい仲になり、子供とも親しくなる。
自分の弟子で今は売れっ子となったソングライターの前座を渋々やることとなるが、その昔の弟子が作曲の仕事をかなりの前金で依頼してきて、先の女性とも付き合いを深めようとした矢先、彼女の子供を酒を飲みに入ったバーから迷子にさせてしまう・・・・

なんて書くとサスペンスになってしまうけど、そんなことはなくどこにも角が立たない終わり方とはなっている。
途中交通事故などあったりはしたが、余りにもなだらかな筋運びに物足りなく感じたのは、アメリカ映画と言えばバイオレンス場面が当たり前になっているからなのだろう。

とはいえ、「一度は落ちぶれた男の再生物語」としては密な描き方をしていたとは思うし(アル中からの卒業は早すぎだが苦笑)、中程度の共感は生じた。

欲を言えば音楽場面をもっと盛り込んでくれればと思ったが、そうなるとドラマパートが手薄になっただろうから、映画の配分で良かったのだろう。

この映画に使われたカントリーミュージックもまずまず良かった。
そう言えば、唯一ロイ・オービソンのカセットテープを持っていてウォークマンで過去に聞いていたが、同じような調子だったなと思い出され、それゆえに良かったのかもしれない。
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