イメルダがなぜ3000足を超える靴を履き替えることができたのか？それがフィリピンの歴史にどう関係しているのか？イメルダ本人とその周辺の人々へのインタビューで照らし出される異様な人格と激動の時代。「貧困な者たちには模範となるスターと、彼らの幸せのために身を粉にして働く奴隷の両方が必要なの」と言いながら裸足の平民に自分のブロマイド写真をばらまくイメルダ。「彼女のアイデアを側近たちは最高だと褒めちぎる。でも大抵それは最高ではない」と苦笑する識者たち。とんでもない金額の横領と不正選挙と汚職にまみれ、それでも未だに自分はフィリピンの国民のために生きていると言い切る。実際のところ彼女がどれだけ愚かであろうと本人にとっては嘘も矛盾もなく、未だに国民に人気というのもなんだかわかる。汚いはきれい、きれいは汚い。自分はこの女性を責められるほど覚悟をもって生きていない、と思わされる作品だった。

マルコス大統領の妻であり、過剰なまでの蓄財と浪費を繰り返すも、1986年にアメリカの圧力と民衆の抵抗によって国外へと亡命したイメルダの膨大な靴や衣装の画像は、当時のニュースではかなり大きく扱われたもの。 3000足の靴の部屋なんて、SATCのキャリーが見たら発狂しそうですよね～ 私も友人と靴を馬鹿買いしたときなんかは、「あんたはイメルダか？それともムカデかなんかか？」と悪態をつくのがネタになってますが
或る意味、女子の欲望を忠実に実行した人でもあります。

そんな彼女のドキュメントは、自分の行ったことの自己肯定に終始し、監督もその発言に振り回されてる感はぬぐえないのですが、 「こんな感じで、当時のフィリピンの政治や旦那や国民を振り回してたんだな・・・」と思えて、結構面白かったです。 何というか、開き直るとは違うんだな～
（開き直るというのは、ある意味自分の間違いを認めているわけで） 過去の自分の間違いは、白紙になってる都合の良い記憶回路なのです。 しかも「自分は完璧」という持論を、はちゃめちゃな理論で完成されています。
少数ではありますが、いますよねこういう人。 でもって、こういうタイプの人って異性にモテモテなんです。
言うなればヒロイン主役級タイプ、華があるのです。
自分の中に、もっとイメルダ要素があったらな～と、女子として願わずにはおれないそんなドキュメントでした。（たぶん映画の主旨は違うと思うけど・・・）

宇宙と平和とコンピュータを語るイメルダが最高