タイトルのエリックとはエリック・カントナその人のこと。
もはやマンUの伝説にもなっている背番号7だが、そのカントナをケン・ローチが主演に迎えて映画を撮っていることは知っていた。
ケン・ローチはどの作品も労働者階級の人生に光を当てているが、カントナはあくまでも助言をするだけ。
行動に移すのは家庭の状態が最悪な父親。
妻には2度逃げられ残された二人の息子とも会話はなし。
唯一楽しみなマンチェスター・ユナイテッドの試合。
中でも引退したエリック・カントナは今でも崇拝するほどの熱の入れ込みよう。
こんな男だからカントナが現れれば素直に受け入れるのには思わず納得してしまう。
マンチェスターの寂れた生活とは逆の、パブでの活気あふれるやり取り。
イングランドのサッカーに賭ける情熱は他の国と比較しても劣ることはない。
最後なんてほとんど犯罪だが、そういうことを許せる空気がこの映画には充満している。
演技は素人のカントナまで使いこなすあたり、ケン・ローチはやはり新作が気になる監督の一人だ。