ウォーターライブラリー

機動警察パトレイバー2 the Movieのウォーターライブラリーのレビュー・感想・評価

4.1
「専守防衛」という観念と、誰の意思によるものなのかが明確ではない「曖昧なクーデター」を、映像によって形あるものとして描写した点に特異性がある。戒厳令下の東京で、幼稚園児たちにピースする自衛隊員や、戦車のなかで眠気と戦う隊員など、緊迫感を演出しつつも、あえて緊迫感を維持できない人間を映すことにより、演出された戦争状態という非日常化の中での、日常からの侵食がもたらされる。その侵食は、平和ボケゆえと考えても構わないのかもしれないが、むしろ「平和」の強さだと考えるのがよいだろう。