まめだいふく

魔王のまめだいふくのレビュー・感想・評価

魔王(1996年製作の映画)
3.0
 写真好き、動物好き、子供好きの変わり者アベル。ある少女の報復行為と戦争によって、数奇な運命をたどることとなった彼の半生を描くドラマ。

 フランス人であるアベルは最終的にドイツ軍の捕虜となって、兵士育成のために少年を次々とスカウトし、育成学校に入れるという仕事を任される。
 スカウトと言っても、親からすれば我が子をさらわれるようなもので、アベルは世間からは子供を奪っていく‶鬼″と呼ばれてしまう。なので、本作の原題は『THE ORGE』。まんま『鬼』。しかし邦題はなぜか『魔王』。なので最初はシューベルトの『魔王』の映画化かと思ったよ。
 それはさておき、本作は何となくのめり込みづらい戦争ものだった。自由に抜け出せる捕虜収容所が非現実的だし(脱走がバレてもおとがめなし)、フランスやドイツなど、舞台がどこに変われど、全員英語でしゃべってるし、ドイツ軍の国家元帥の瞳が異様なほど青々としていたりと、とにかく現実味に乏しく、リアリティを感じない。
 反面、シカの狩猟シーンは本当にシカを撃ち殺しているんじゃないか? と思うくらいリアルで引く。これはいったい何を描きたかったのだろうか。
 ジョン・マルコヴィッチの演技は悪くないだけに、何だか残念。
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