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魔王のeのレビュー・感想・評価

魔王(1996年製作の映画)
3.9
これは相当に変な話の映画だけど、元となるお話しはどうもキリスト教の説教的な話に関わるお話らしく、宗教的な事に疎い人は、というかほとんどの日本人には訴えたい事がなんなのかは理解しづらいと思う。そういうわけで観たままの感想しか浮かんでこない。

舞台はフランス〜ドイツだが例によって言語は英語です笑(一部、ドイツ語もあり)。何やらよくわからないトラウマを抱えるフランス人の主人公は兵役へ就くも捕虜となり、そこでなぜかドイツ人に認められ狩猟区でヘルマン・ゲーリングの付き人になったり、ヒトラー・ユーゲントの学校の用務員になったりする。果たして捕虜の身分でそんな事が可能なのだろうか?捕虜収容所も出入り自由なんじゃないかってくらいにゆるい。

さて、ゲーリングは実際にドイツ狩猟長官で、映画の中では所有する城にレジャー?で狩りに来ているように見える。このゲーリング役の人は体型もゲーリング並みに太っており、白い軍服を着用したり、顔もまあまあ似ているし、なかなかしっくり来ている。ライオンをペットにしていたり(史実らしい)、宝石の中に手を入れて心を落ち着かせたりと、かなり俗物的に描かれているが、実際にゲーリングは成金趣味としか言いようがないので、この辺は結構笑える。スターリングラードでの敗北によりゲーリングはベルリンへ呼び戻され、主人公を収容所から引き抜いた将校も東部戦線へ行くことになり、主人公はヒトラー・ユーゲントの学校で働くことに。

こうやって史実の通り映画は進んでいき、以後も7月20日事件や死の行進、ソ連軍の進行などが絡んでくるので、基本的な歴史の部分を抑えておくと、より楽しめると思う。

ヒトラー・ユーゲントの養成学校で、子供集めを任された主人公は、近隣の家庭の親から「鬼(魔王)」と忌み嫌われ、これが映画タイトルになるのだが、この辺も宗教話と関連ありそうだが、よくわからない。

ユーゲントの養成学校では、馬鹿げた人種妄想に取り付かれた医師や親衛隊も登場し、ユーゲントの訓練風景と相まってなかなか楽しめる。この映画は親衛隊があまり悪く描かれていないのも珍しく、親衛隊は捕虜の主人公に対して結構気さくだったりする。そうこうするうちにドイツの敗北は目前となり、学校にもソ連軍が迫り、、、という感じです。

ドイツのこの時代に興味がある人なら、結構楽しめる。が、一般的にはそれほどでもなさそうな気が、、、。
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