海苔

リトル・ダンサーの海苔のレビュー・感想・評価

リトル・ダンサー(2000年製作の映画)
3.7
自らの内なる欲求に気づいた少年が炭鉱夫の家族と衝突しながら羽ばたいていく物語。バレエを女のものと決めつけ、理由を説明せずに権威で息子に言うことを聞かせようとする様は典型的な労働者階級特有のMacho culture。そんな父親がクリスマスにビリーの演技を見て心打たれ、息子をこの斜陽の炭鉱から脱出させるためにプライドをかなぐり捨て、ストを破って金を貯めるシーンは感動的だ。ビリーにとってバレエは亡き母親に近づこうとする行為だったのだという解釈も面白い。ビリーはロンドンでダンサーとして華々しく成功した一方で、父や兄は依然として斜陽の炭鉱暮らし。家族内での双方のギャップは歴然と開いている。誰にとってのハッピーエンドなのか、そもそもハッピーエンドと呼べるのか。美しい白鳥の舞に、あえてそんなひねくれた見方を提起するのは野暮だろうか。
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