Yoko

リトル・ダンサーのYokoのレビュー・感想・評価

リトル・ダンサー(2000年製作の映画)
4.3
 イングランド北東部の炭鉱街に住む少年”ビリー”。
炭鉱夫として働く父親の教えでボクシングジムに通っていたビリーは、炭鉱ストライキの影響で一緒の体育館を使用することになったバレエ教室の稽古を目撃する…。

 舞台設定が1984年ということで、まだまだ「女らしさ」の象徴であった(と思われる)バレエを際立たせるために、ボクシングや炭鉱夫によるストライキといった「男らしさ」の部分も描いているが、これらのジェンダー描写に「説教臭さ」が全くなくて面白味のバランスが絶妙に整えられている。
ビリーの周りの人物もジェンダー視点でとても分かりやすく描かれており、別に彼ら(彼女ら?)を小馬鹿にして笑いをとるでもなく、ストーリーの流れで自然に面白いキャラとして立っている。
まさか登場するとは思わなかったあの人物の隣に座っているのが「黒人」というのも意味深。
 ここまで来ると、劇中のBGMの多くがT-REX(マーク・ボラン)であることはもはや必然。
デヴィッド・ボウイだと少年が主人公の映画としてはやや大人じみているので、マーク・ボランでちょうどいい。

 ミュージカルとして観るとダンスシーンは少な目かとは思うが、レンガ造りの鬱屈な街を駆け巡るビリーのダンスは開放感に満ち溢れている。
父親にもしっかり泣かされてしまい、面白いし泣ける作品。
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