スローモーション男

ハズバンズのスローモーション男のレビュー・感想・評価

ハズバンズ(1970年製作の映画)
4.5
 U-NEXTのおかげで観れました。
ジョン・カサヴェテス監督作品

 親友4人の1人が亡くなり、取り残されたハリー、アーチー、ガスは遊び呆けてひたすら彷徨う日々を送る。

 ベン・ギャザラとピーター・フォークとジョン・カサヴェテスがずっとはしゃいで内輪ネタで面白がってるのです。
 こんな人たちに現実世界で遭遇したら、共感性羞恥がものすごいですよ!

 人間の「感情」を重視し、新たな映画演出を確立させたカサヴェテスの真骨頂とも言うべき作品。
 親友が死んだのに葬式で美談にされることに腹が立つ様子のピーター・フォーク、そのあとの気まずいパーティシーンで3人は色んな人を茶化している。どう観てもアドリブでやっててその場の雰囲気で微妙な空気を作ってしまう。と思ったら、いきなりベン・ギャザラが奥さんとお義母さんを罵倒し平手打ちしたりと、深刻になるし、感情が揺すぶられる。

 全く未来に向き合わずに過去の思い出に縛られる3人は間抜けでありながら悲哀に満ち満ちている。
 みんな孤独が恐くて恐くてたまらないんだなと感じました。

 後半は家族や妻をほったらかしにしてロンドンに行ってしまう。女の人を口説き回るが、失敗していく。
 後半はだれます…。

 面白いのですが、やはりジーナ・ローランズが出演してないので物足りなさは感じるし、そのくらいジーナ・ローランズの存在は、カサヴェテス映画の強力粉として欠かせないのだと再認識しました。

 観てて辛い部分もかなりありますが、ラストシーンは、過去からの脱却と現実逃避をやめた人間のほんの少しの希望を見せてくれたのだと推測します。

『愛の奇跡』『よみがえるブルース』『ミニー&モスコウィッツ』『ビッグ・トラブル』はどうやって観ればいいのだ…。