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タクシデルミア ある剥製師の遺言の消費者のレビュー・感想・評価

3.7
・ジャンル
ドラマ/風刺/アート/Disturbing Movie

・あらすじ
倒錯した妄想と自慰に浸る時しか自由を謳歌出来ずこき使われるばかりな一兵卒の青年、ヴェンデル
彼が配属先の極寒の村で中尉の妻と肉体関係を持った事で産まれ、後に早食い選手となったカルマン
極度に肥満な父とは正反対に痩せこけた体のまま育ち剥製師となった息子、ラヨシュ
それぞれ数奇な運命を辿った3世代の彼らの業は奇妙な形で繋がっていき…

・感想
デビュー作「ハックル」(未鑑賞)で注目を集めたハンガリーの映画監督、パールフィ・ジョルジがパルティ・ナジ・ラヨシュによる短編小説を原作に製作した作品

初っ端から火炎放射する勃起チンポが映し出されたり、あろうことか「マッチ売りの少女」をズリネタにしたり、食料である豚の死骸に重ねて中尉の妻を寝取ったりと祖父、ヴェンデルがあまりにも素っ頓狂な方向にキチガイ過ぎて何でDisturbing Movieとして紹介されていたか1発で理解した…w
基本的に徹頭徹尾、不快描写で埋め尽くされながらもストーリーからはある程度風刺が感じ取れる部分もあるのでただ悪趣味なだけの作品とも言い切れず何とも言えないバランス感覚で成立してるという印象

戦争と性欲で身を滅ぼした祖父
過去の栄光にすがった末に文字通り動けなくなってしまう父
横暴でお荷物な父と剥製師の技術以外に生きた証を持てずに死を選ぶ孫
それぞれの人生が割とめちゃくちゃなんだけど、どんな時代や環境においても不運を継いだかの如くそれぞれが歪み苦しんでいく救いの無さというのは割と重い

特に孫、ラヨシュのそれは現実においても近しい状況があり得てしまいそうな上に命を捨てて残した父と自分の剥製も名誉を望む医師に奪われてしまうという最悪さ…
考えたら負けな部分と考えないと分からない部分が独特に絡み合ってるのも一見すると不快さを強調している様で実際はむしろ闇を上手く覆っていこうとしての事にも思えてくる
ただ救いがないだけだと観ててしんどいしね…

不快描写を目的に観たけど思っていたよりも深みのある作品で逆に評価が難しい
英語字幕で観たのも大きいだろうからどっか普通に配信してくれ…
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