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三人
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『三人』に投稿された感想・評価

トッド・ブラウニングの本作のリメーク版『悪魔の人形』が大好きで、そちらはトーキーだったがオリジナルはサイレント映画だと聞き早速YouTubeで無料のやつを鑑賞してみた。日本語字幕付き。

名優、ロン・チェイニーが謎の老婆👵に扮するユーモアと茶目っ気に溢れた犯罪映画。ある意味反社会性の塊みたいな、四人の狡猾な悪人が次第に善性を見せる話。

タイトルはThe Unholy Three=悪の三人組だが、正確には女スリのロージーを含めて悪の四人組だと思う。その他、腹話術師エコーと、怪力ヘラクラス、小人トゥイードルディーらがセコイ金儲けを企みクリスマスの夜に暗躍する魅惑蠱惑のサスペンス映画に仕上げている。

ストーリーが良く練られていて、おそらく脚本が巧みなのだろう。サクサク進んでしかも内容的に濃い。犯罪劇→恋愛劇→裁判劇みたいにコロコロと物語が変容してゆき、最後は主人公のエコー(ロン・チェイニー)が得意の腹話術を使って自ら金を奪ったのは俺だ!と自白する。仲間の女スリのロージーの恋人、ヘクターを助けようとする勇姿に思わず涙する。

どいつもこいつも卑劣な極悪人なのに、どこか憎めないキャラで一種の哀れみを持って描かれる辺りがブラウニングらしいアプローチ。世のアウトサイダーへの共感。それが一貫してこの監督にはあり、涙を禁じ得ない。ラストの山岳で大暴れするゴリラ🦍が凄いインパクトを放つ。

ロン・チェイニーはずっとオグレディ老婆の姿でいた方がファニーで楽しいのでは?とも感じたが、あまりに演技が上手くて失禁モノ。全作品チェック☑️したい。たしかに腹話術を簡単に使えたり、主人公とヘクターが自白して簡単に罪を放免される辺りのゆるさというか、詰めの甘さもあるっちゃあるのだが、それを別としても完成度の高いドラマである。

結果的に素晴らしいエンタメ作品であり、ご都合主義的なラストも許せてしまう清々しさ。腹話術に始まり腹話術で終わらせる締めくくりも小粋で何より。「またな、相棒!」。そして女スリのロージーはエコーの元へ離れ、自由な世界へ羽ばたいていくのだった…。人間の隠された善性や二面性に言及した、ホンワカとしたタッチの寓話だ。ブラウニングの初期傑作❣️
「魔人ドラキュラ」(1931)「フリークス」(1932)のトッド・ブラウニング監督と名優ロン・チェイニーの同志タッグ最大のヒット作。原題は「THE UNHOLY THREE(邪悪な3人組)」。

カーニバルの腹話術師エコー(ロン・チェイニー)は恋する女スリのロージーにそそのかされ、怪力のヘラクレス、小人のトウィードルディーと3人組の犯罪を計画、ペット・ショップ店に住み込む。エコーは老婆に変装し、腹話術でオウムを “おしゃべり上手”に見せかけて客に売る。持ち帰った客から“しゃべらなくなった”と相談が来ると、赤ん坊に変装したトウィードルディー、ヘラクレスと共に訪問し手分けして物色するという手はず。計画は順調だったが、ショップの店主ヘクターとロージーが仲良くなり嫉妬するエコー。その裏では警察の捜査が迫っていた。。。

ブラウニング監督とロン・チェイニーでなければ作り得ない奇想天外な映画でとても面白かった。チェイニーは本編の大半が老婆姿。一方、素顔での喜怒哀楽の演技が素晴らしく、“千の顔を持つ男”の異名は下地にある高い演技力が支えていたのだと実感した。ブラウニング監督の友人で「フリークス」にも出演する小人俳優ハリー・アールズの、赤ん坊と太々しい犯罪者の二面性はおぞましい程。そしてクライマックスに出てくる類人猿の特撮もさりげなく見事で大きな見どころになっていた。

裁判所シーンにて遠くからの腹話術は功を奏さないのではないか、エコーの赦免は甘すぎるのではないか等、不自然に思えるところもある。しかし、それが許せるほどに映画の求心力が強い。社会のアウトローであるカーニバル芸人の人生と叶わぬ恋。このブラウニング監督のテーマと見世物的エンターテイメントが合致した傑作だと思う。

それにしても、filmarksでの本作のMark数の少なさ(現時点で11)には複雑な気分になる。日本語版の配信を切に願う。

※ブラウニング監督とチェイニーは5年後(1930)に本作をトーキーでリメイクしている。同年に咽頭がんで亡くなったチェイニーの遺作であり唯一残されたトーキー作品となった。サイレント版とは終盤ストーリーが違っていて、遺作にふさわしい列車で去り行くエンディングにセンチメンタルな気分になった。(現在filmarksに掲載をリクエスト中→2023/2/23掲載してもらいました)。
3.8
ドイツ表現主義のような三人の影のカット。小人がうまそうにタバコをすうユーモアも好き。