トラウマ級に強烈な映画でした。
全体的にはコメディ要素が強い。三船敏郎、佐藤充という猛者に率いられて少年兵たちがオドオドと振る舞う様子はユーモラスだし、楽器の名前で呼び合うところが楽しい。葬儀屋と呼ばれる中年兵(伊藤雄之助)もコメディリリーフとしていい味を出してしました。
少年たちの奏でる音楽も本作に魅力であり、なぜか軍歌ではなくジャズナンバーばかり演奏するところも面白く(同じ岡本監督の「ジャズ大名」を思い出しました)、それが陽性の雰囲気を作り出しています。
そんな少年兵たちが鍛えられて大殊勲を上げるみたいな能天気な映画だと思ったんですけどね。僅かな犠牲者を出しながらも作戦は無事成功し、めでたしめでたしと思いきや、そこからの突き落とし方はあまりに残酷でした。
一転、敵の凄まじい反撃を受けて「聖者の後進」を演奏しながら命落としていく少年たちの姿は実に痛ましい。最後にトランペットのソロだけになる演出が凄まじいですが、まるで彼らの魂が音楽を奏で続けたいたかのよう。必死に彼らとともに戦ってきた大人たちの最期もまた痛ましく…。
かなり強烈な反戦メッセージを発している映画であり、反戦映画の傑作との評価には異論はありませんが、男に都合によい女として描かれる慰安婦の姿だけは違和感がありました。