依緒

春夏秋冬そして春の依緒のレビュー・感想・評価

春夏秋冬そして春(2003年製作の映画)
3.7
一人の男の一生を春夏秋冬の移り変わりと共に表した水墨画のような美しく静かで、かつ感銘を受ける作品。

幼さゆえの残酷さ。
身をもって知ることは、口頭で教えられたことより心に刻まれる。
教育って教科書を読むことじゃない。
思春期って煩悩まみれ(笑)
立派に成長してるってこと。
執着さえしなければ。
青年期は誰も注意なんてしてくれないからこそ、己をいかに冷静に感情的にならずに律することが出来るかだと思う。
刑事達が湖に浮いてる空き缶を銃で打って暇つぶしするシーンは、『ソナチネ』に共通するものがあった。
壮年期。
キム・ギドク監督が自ら演じている。
極寒の凍った湖の上で修行する姿は、煩悩の欠片も見られず心がピンッとなる。
劇中で彫る氷像はキム・ギドク監督がホントに掘ったものらしい!
そしてまた迎える春。
人生は繰り返す。
良きことも悪しきことも。
その中で何を学び何を得るのか。
何を失い 何をして後悔するのか。
私の人生は今どの季節だろうか。

作品中に季節ごと出てくる動物たち。
各章最後に流す涙の意味がそれぞれ違って深い。
セリフも登場人物もとても少ないのに全く見飽きない。
映像が語る凄さを感じた。
依緒

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