やや古いが良作ドキュメンタリーでした。脳性麻痺の重度障害者が自立を目指す試み。不正受給は許せんがこういう方のために生活保護使って下さい。
ドキュメンタリーとしてはNHKっぽい編集がやや難点ですが…
本作では施設暮らしや、ワークホーム(手作業で月-金で働いて1万円ちょい！)の付属寮住まいの方が自立を目指す。
正直、自立はかなり難しいと思いました。とはいえ各人の障害の程度によるので、自立を果たした人も既にあり、自分もと頑張っている。

しかし苦労しても少しでも自分の時間が欲しいんですね。まだ動ける方でも1人で風呂に入るだけで2時間かかるという。それでも施設以外の道を選ぶ。
脳性麻痺の平均寿命50歳ということを、みなさんかなり気にしてる。リスクを承知しても自立を目指す。
もちろん重度なので、いづれにせよひとの助けは必要なわけです。他人に迷惑をかけない人間なんていないのだし、ならば、多様であること、多様であることが許されることは必要なのだと思います。

ドキュメンタリーとして、今作が意識していることに、家族のコメントを最小限にしている点があると思います。当人が何を感じ何を考えているかに焦点を絞っていますね。
そこはいいんですが、いかんせんNHKっぽいのがなぁ。でも良作です！

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柳沢寿男の「甘えることは許されない」でも介助ナシで着替えたりする大変なシーンがあった。それが75年。この映画での90年代後半〜でも介助者はあまり出てこないというか、ここでも当事者が「ひとりで何かをしている」シーンが目を引く。それだけ20年ほど前でも全然制度は整っていなかったということだし、逆にこの20年での「自立生活」という生活スタイルの定着はめちゃくちゃ進んできたなということに思いがいく。こういう運動の積み重ねから、熊谷晋一郎氏の「自立とは依存先を増やすこと」という言葉がリアルに響くような時代になってきた、ということか。

自立生活を望み、そのために日々を送る脳性麻痺がある彼らを2000日追ったドキュメンタリー。
ほぼ本人たちの目線で切り取られている。
県営住宅でやっとひとり暮らしを始められた女性が自治会長から草刈りを免除され、でも気になるからその時間はカーテンを閉めている…というシーンに気持ちがぎゅっとなる。
いわゆるお涙頂戴映画ではなく、そのままの彼らの姿や思いが映し出されており、障がい者に関わりの薄い人にも観てもらいやすい映画だと思う。