シオラレオネ共和国の内戦下で起きた一つのダイヤモンドを巡る、元傭兵と優しい漁師の交流と血で血を洗う戦いと家族の絆。
以前観たときも大変満足した記憶がありますが、改めて鑑賞してもやはり本作は素晴らしいの一言につきます。社会派サスペンスアクションの超傑作であり、エンタメ全部乗せのボリュームマックスムービーながらお笑い一切なしのシリアスかつ心にグサグサぶっ刺さるつよつよメッセージ映画なんです。このジャケ、このタイトルに騙されてはいけない。「なんか面白い映画ない?」と聞かれればとりあえずこれを勧めてしまいましょう。よくわかんなくても大丈夫。しっかりぶっ刺さります。
内戦下のシオラレオネの1999年。反政府武装勢力RUFに突如襲われたソロモンは、命からがら家族を逃がすことに成功するも自身は捕まってしまい強制労働をさせられる。
RUFの資金元として採掘場でダイヤを探すソロモンは、偶然巨大なダイヤの原石を発見する。持ち出そうと企んだ矢先、RUFの幹部に見つかり奪われそうになるも、政府軍の攻撃によって難を逃れてダイヤを隠すことに成功する。
一方、元傭兵で武器を捌きダイヤの密輸
に手を染めるアーチャーは政府軍に逮捕されソロモンと同じ留置場に入れられる。
そこでダイヤの話を聞き入れたアーチャーは急いで出所し、ソロモンも釈放させダイヤの在処を探る。家族を取り戻したいソロモン。ダイヤが欲しいアーチャー。そこに、紛争ダイヤの実態をスクープしたいジャーナリスト、マディーが加わり、「ブラッド·ダイヤモンド」をかけた熾烈な戦いに巻き込まれていく。
学のない私でも事の重大さは認識できるほどキャッチーな作りになっている映画。アフリカの歴史を理解してる人は本作の解像度をどう捉えるのでしょうか。
第三世界のイメージはとにかく治安が悪そう。アパルトヘイト政策への問題提起を分かりやすく可視化した例としては「第9地区」などですかね。私あの映画好きです。
日本で暮らしている限り内戦や戦争って、テレビの中とか資料のイメージ。過去には本土が戦場になるという戦争の犠牲の上に成り立ってきた日本の歴史ですが、戦火から逃げ惑うことも銃を突きつけられることのない私にとって、ウクライナの戦争ですら正直遠い話のように聞こえてきてしまう。
それがどれだけ不謹慎なことかは承知の上で、本作は「紛争ダイヤ」という社会問題にメスをいれている。紛争地域で不当な労働環境の元採掘されたダイヤは、すったもんだあって正規の市場に出回り先進国で売り捌かれるという実態。
そして、それにより得た金は反政府組織の武器や活動資金に変わる。金持ちがダイヤを買うことで内戦が延びていくという悪夢の構造。「給料3ヶ月分の愛の証明」が少年兵が持つマシンガンに変わるかもしれない現実。
世の中うまいことできていますね。悲しみです。事実を知ること、そして行動を起こすこと。私この手の問題提起って結構冷めた受け止め方しがちなんですけど、本作はさすがに考えてしまいます。
何ができるかわからないけど、事実を認識すること、そういった人間が一人でも増えて何かしらのムーブになることがあれば、何かしらの意義があるのかもしれない。
ジャーナリズム、報道という概念にうんざりしていた昨今でしたがこういうのは大事だなと認識。それでも、RPGで撃破された救急車に群がり写真を撮ったりするマスコミは不快だなと思ってしまいましたが。
学の無さが露呈してしまうので、この辺で社会問題の話は切り上げるとして、本作はこのシリアスなテーマの重厚感を損なうことなく、映画というエンターテイメントに昇華していることが見所。
華のあるキャスティング。汚れはじめたレオ様セクシー。
しっかり見応えあるアクションや死と隣り合わせの日常のスリル。長尺ながら飽きのこないテンポ感。ラブもちゃんとある。悲しいけど。無敵やん。
なんか「The '00年代の映画」って感じなんですよね。どういうことかうまく言えないけど。「これこれ!」ってなるやつ。日曜洋画劇場が続いてたら間違いなく編集されまくってやってる感じ。
この「テレビ観てたら始まって、つい最後まで目が離せなかった」感がたまんないですよね。悲しみと怒りに満ち溢れた激重映画なんですけど、ホームムービーっぽさがあるというか。このうまくまとまってソフト化に成功していることと、アート性を抑えて大味のアクション映画をベースに作ってる感じがハマってるんだろうな。
過去に人に勧められて初めて観たんですが、このパッケージとタイトルで「なんか面白くなさそう(笑)」とか半信半疑でつけて、そこから目が離せなかったことを思い出しました。
レオ様の代表作、いっぱいあるけど、本作もまったく負けていない素晴らしい傑作だと思います。超好き。オススメ。
2024年 130本目