フランスでの歴代観客動員数で3位となる大ヒット作。日本で公開されたフランス語映画の中では、あの「アメリ」を超えて、歴代1位のヒット作となった作品だそう。FILMARKS の評価でも当然の高評価で、いつか観ないといけないと思っていた作品でしたが、ようやく鑑賞。
やはり鉄板の面白さでした。
移民受け入れ国として長い歴史があり「人種のるつぼ」と言われるフランス。そんな かの国では、母国民と移民の間に歴然とした経済的・社会的格差があると聞きます。この作品で描かれている2人(フィリップとドリス)の立場は、一見するとそんな自国の社会構図をそのまま映し出したような関係性ではあるものの、他方で、富裕層のフィリップは「障害」というハンディキャップを背負い、ドリスに介護してもらうという立場でもあります。マジョリティとマイノリティ。その境界線など状況によっていつでも変わりうる。だからこそ、お互いが相手の立場を理解し、寄り添い、認め合う。
トランプ政権の誕生によって、社会的に浸透してきつつあった「DEI」の考え方に対し、世界的にも名立たる企業などがその方針を取り下げたりする動きがあると聞きます。アメリカだけでなく、EU各国においても極右勢力が台頭するなど、社会の分断化が懸念されています。その意味においても、本作の示唆する価値観は、公開当時よりも一層メッセージ性を帯びているように感じました。…とはいえ、普通にハート・ウォーミングでコメディ要素のある良質なドラマですので、万人にお薦めの作品です。名作。