KnightsofOdessa

ルイジアナ物語のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ルイジアナ物語(1948年製作の映画)
4.5
No.215[フラハティの見つめる"水面"の先に…] 90点

フラハティの「モアナ」上映関連で本作品を上映するらしいが、私は行けないので先に見てしまった。結果として、私はこっちがフラハティの代表作と呼びたいと思うほど気に入った。

ルイジアナの沼地に暮らすケイジャンの家族と入江に石油リグをもってきた石油会社の話。石油会社からの依頼で作られたため会社が環境を破壊しようと煙出しまくろうと何しようと超ほんわかした空気で流し去る。本作品における環境破壊肯定と資本主義的な立場は「タブウ」で白人に搾取される現地人を撮ろうとした(そしてムルナウと大喧嘩して降板した)フラハティとは思えない。

と、本筋の内容は薄いが、今回のフラハティは狂ったように"水面"を撮っている。そして、波の陰影がモノクロにめちゃくちゃ映えるのだ。加えて、ペットのアライグマ以下動物の撮り方も上手い。最早何を見せられているか分からなくなってくるが、極力ナレーションを排した映像造りは見事としか言いようがない。

どうでもいい話だが、石油掘削の知識って「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の時代で止まっていたから技術の発展が見られたのも評価点高め。フラハティの代表作は「極北のナヌーク」みたいな見世物小屋映画よりこっちでしょう。
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