KnightsofOdessa

そう言ったでしょのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

そう言ったでしょ(2023年製作の映画)
1.0
[大きな志のない虚無映画]

ジネヴラ・エルカン長編二作目。あんまよく知らないけど取ってみよう!と欲を出した瞬間に死ぬことで有名なイタリア映画祭にて、懲りもせず今年も欲を出してしまった私が悪いのだが、敢えて言わせてもらうとクソつまんなかった。冬なのに気温が50度に達するローマで起こるなんやかんやの群像劇。色々なスターを起用してて、そこには毎度のヨレヨレ芸を買われたアルバ・ロルヴァケル姉さんやら、毎度のヒステリー芸を買われたテデスキも登場したが、基本的にそれ以外の要素が全部ゴミなので、開始5分で帰る準備してた。物語は往年のポルノ女優プーパに旦那を寝取られてから不安定なジャンナ、その娘で大家の看護をしながら暴飲暴食に走るミラ、亡くなった母親の遺灰を埋めに来たフランとその兄で神父のビル、アル中で離婚されて息子マックスにも会えないカテの四人が視点人物となる。四つの物語はローマの中で動き回り、時には交錯するが、もう人を動かすことで手一杯という印象で、後半はどうしてそう動かしたのかの説明に終始していた。マックスの誕生会に来たカテが元夫から帰れと言われるシーンで、いきなりカテが噛んでたガムを元夫の服に付けるのだが、カメラが切り替わるとガムなんて存在せずに話もそのまま進んでいくのには流石に驚いた。スクリプターとかいないのかな。全体的にそんな感じで、大きな志みたいなものの感じられない、虚無の広がる映画だった。お金が余ってて全員暇だったから適当に作ったみたいな雑さ。

また、気温が高すぎるとかいうのも頑張ってスモーク焚いて光を充満させて視覚化していたが、そんなクソ暑いのにパーカー着てるキャラがいて説得力も必要性もほぼゼロに。気温50度だぞ?汗かいてテカテカのアルバ・ロルヴァケル撮りたいだけだろ(群青日和のMVか)。暑い暑いと言いつつ画面は全然暑そうじゃないアンゲラ・シャーネレク『私の緩やかな人生』を見習えよ!あと、ビルの説教を聴く限り、暑さは比喩的なもので、迷える子羊たちは団結して冷たいとこ探さないとねというありがたーい話っぽいのだが、そうなるとプーパが死んだのは"最も背徳的な人間だから"になりそうで流石に酷すぎるだろと思うなど。
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