このレビューはネタバレを含みます
スペインのビクトル・エリセ監督の31年振りの最新作「瞳をとじて」公開記念による1973年初監督作品とリバイバル上映。日本では1985年に上映された。
当時は1973年はフランコ政権下で、本作はスペイン内戦による時代背景があるとのこと。
現実世界と非現実世界の区別もつかない幼きアナのイノセントな表情が愛くるしい。途中まで可愛らしい男の子だと思っていた。
フランケンシュタインの映画、潰された毒キノコ、倒れた姉、深い井戸の暗闇、殺されてしまった負傷兵等のアナにとっては衝撃的なイベントの数々が、彼女の心を揺るがせる。
ミツバチの蜂の巣と家の格子窓がリンクし、井の中の蛙のアナについても然り、内戦で分断された想い人と手紙でひっそりとやり取りする母についても然り、共通するメタファーのように思えた。
有害そうな猛々しい煙を上げる蒸気機関車のシーンが印象的だったのと、椅子を持参して公民館に集まる街の人々の映画愛溢れた風景が好みだった。