マチャアキ

ダウンタウンヒーローズのマチャアキのレビュー・感想・評価

ダウンタウンヒーローズ(1988年製作の映画)
3.7
ストレートに言うと、終戦直後という設定から、左翼的な思考を持った血気盛んな学生を高校の寮という一つの檻に軟禁すると一体どうなるのか。まるでモルモット実験のようだが、恐らくは混沌とした時代の学校や寮など問題だらけだったに違いない。各々が好きな方向へ走り出し歪み出し、色んな問題を引っ提げて、時にはぶつかり合う。そうかこんな事になるのか、思いもよらない事態と化して一番ビビったのは学校側だろう。
さて本作、そんな実験的な側面はオブラートに包まれ、おどろおどろしい感じも全くない、爽やかな青春ドラマとなってます。
時代ならではの👫男女の距離感がとても新鮮で、とても歯痒く儚い。今の10代に起きている校内暴力やイジメなどとは違い、其々が自身の中に正義を掲げ、それを貫くため守るために出る行動は、例え間違っていたとしても胸に刻まれる何かがある。
主人公と同じ寮生には、オンケルこと柳葉敏郎氏が精力的に演じ、彼がこの作品を牽引したと感じる。可憐な薬師丸ひろ子氏、若き日の坂上忍氏も好演し、物語に厚みを出している。また、石田えり氏の意外な登場で華を添え、渥美清氏の待ってました感も安心できる。
青春という一瞬ではあるが、何かしらの足跡を残したいという熱い思いがしっかりと伝わる。〝ダウンタウンヒーローズ〟彼らは街や学校のヒーローとなり得たのだろうかー。原作とは大きく内容は違うが、180%増し増しで旨味増強の快作!この時代の若者が持つ爆発的エネルギーを、出演者の全員が共有・共感して出来た奇跡的作品。
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