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山猫のTaTのレビュー・感想・評価

山猫(1963年製作の映画)
4.0
イタリア統一に揺れるシチリアと貴族社会の衰退を一人の公爵の目線から描いてます。

主人公のサリーナ公爵は地位も権力もあるのに1歩引くところは引けて魅力的な人物です。演じるバート ランカスターは恥ずかしながらこの作品で知りました。紳士で渋い良い演技してます。
時代に新しい波が来てるのを感じると、新しい時代は若者に任せて公爵は傍観する事を決めます。しかし陰ながら新しい波の象徴として描かれるアラン ドロン演じるタンクレディを支える訳です。
けれど、同時に自分の老いと形式に捉われて本当の品格を失った貴族社会に嫌悪を感じる姿がメランコリックに映り、見てる方は時代の限界も感じさせられます。 

それに対してタンクレディにはどうしても小粒感が...(ただめちゃくちゃイケメンです)合理的で形に捉われないって意味では新しい時代の人物なんだけど、公爵に比べると薄情で軽く見えました。(あるいはそれも含めた時代の対比なのでしょうか?)

全体を通して華やかなセットや装飾が美しく、特に1時間ぐらい使って描かれる舞踏会のシーンは圧巻。VHSではどうしても画面が小さくなっちゃうんで、次は映画館かブルーレイで見たいな。
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