ギャンブル狂いの夫とアル中の妻。不倫旅行に出かける老いたバーテンダーとクロークの女。過去に罪を抱えたクスリの運び屋。
「人間は不浄だから」
その言葉が象徴するように欲望に翻弄される人々と対称的に描かれるエホバの証人であるカップル。
エボバの証人の二人が信じ続けるものと目の前にあるものとの間に抱えるジレンマ。信じるもののない人の過ちとその後の空虚。個々の人間の描き方は上手い。でも、あまりにもドラマ的な選択を迫るストーリーと泣かせようとけしかけてくる音楽は好みではなかった。思わず泣いたのは最初からゴールが悲劇って分かってたからかな。
信じるものがあるからゆれる倫理もあれば、信じるものがないから崩れてくものもあるし混沌としたものが出来上がるような気もする。
無神論者ではあるけれど、何も信じたことのない人間が一概に宗教を否定できないなとは思う。